TOP > 雪下ろしのコツ(1) 雪下ろしの注意点
注1) | このチェックフローは、住宅の建築年代や雪止め金具の有無、屋根雪による住宅の応答などの観点による屋根雪下ろしの必要性を検討するフローです。 |
注2) | 雪庇や巻きだれなどの軒先・軒下における落氷雪対策の有無は、ご自宅における軒先・軒下の使われ方(人通りや物品の有無、近接の建築物との距離 等)により大きく異なりますので、上記のフローには含まれません。 |
注3) | 車庫や倉庫などの建築物は、このフローの対象外です。雪の重みへの耐力を確認する場合は、購入されたメーカーに直接お問い合わせいただくことをおすすめします。 |
北海道における住宅などの屋根の雪下ろしは,原則,不要です。 北海道は,建築基準法施行令第86条第6項の「雪下ろしを行う習慣のある地方」となっていませんので,雪下ろしを行わなくても雪の重みに耐えることができるように建築物は設計されています。
さらに、昭和56(1981)年6月1日以降で建築確認がされた建築物は建築基準法にある新耐震基準※に則る必要があります。
ただし,車庫や物置などの付属施設は基礎が簡易な構造としている場合がありますので,雪下ろしの必要性について取扱説明書等で確認しておくことをお勧めします。
※「新耐震基準」
震度6強、7程度の地震でも倒壊しない水準
北海道内における積雪荷重基準(建築物の設計において立地場所に応じ算定された屋根雪による荷重の基準)は、建築基準法施行令第86条第3項に基づき、市町村ごとに定めた垂直積雪量※に雪の単位荷重を乗じて算出されています。
例えば、札幌市(南区の一部を除く)の垂直積雪量は140cmで、「平地で140cmの積雪となったときを想定した場合の積雪荷重にも耐えられるように建築物は設計されなければならない」という意味となります。
このようなことから、北海道における建築物の積雪荷重基準によると屋根雪下ろしの必要性は低いことがわかります。
住宅における積雪荷重に関する詳しい解説は、「除雪を学ぼう 建物の積雪荷重」をご覧ください。
北海道の住宅や車庫で使われている屋根材(金属板)は雪を落としやすくするため、表面を滑らかに仕上げてあり、とても滑りやすい材料です。屋根の表面が濡れた状態では特に滑りやすくなります。このため、屋根の上に雪を少し残すなど、金属板の上を直接歩かないようにしましょう。また、気温が高い日は雪が滑りやすくなりますので、雪が安定しているかを確認してから作業を始めましょう。
平らな無落雪屋根で断熱性能が高い場合は、屋根の雪は地上の雪とほとんど同じ状態で、積もる量も多くなり、雪庇などができやすくなります。断熱性能が低い場合は、室内の熱が伝わり雪が融けるので、雪の量は少なくなりますが、融雪水により雪が滑りやすくなる他、ツララや氷板ができます。勾配屋根(傾斜屋根)は平らな屋根に比べ積もる雪の量は比較的少なくなりますが、勾配が緩いと雪が落ちない場合もあります。
断熱性能が低い住宅が空き家になった場合や屋根の下の部屋を暖房しなくなった場合は、人が住んで暖房していた時に比べ、屋根に積もる雪の量が極端に多くなり、落雪屋根でも屋根の雪が落ちなくなることもあるので注意が必要です。
無落雪住宅の例
空き家になった勾配屋根の住宅
平らな無落雪屋根では屋根の端部や雪庇に注意し、端に近づかないように作業することにより、屋根から転落する危険性は少なくなります。建物に固定された点検用はしごがある場合は、屋根を上り下りする際の安全性が高まります。また固定されたはしごに十分な強度がある場合は、命綱の固定にも利用できます。
勾配の大きい屋根では、雪下ろし作業時にバランスを崩しやすく、雪止めがないと雪と一緒に滑り落ちる恐れがあります。また屋根に立て掛けたはしごが転倒しないようにする必要があります。勾配屋根の雪下ろしは危険性が高いので十分に注意する必要があり、安全確保に自信がない場合には、専門業者にお願いするようにしましょう。
勾配屋根に立て掛けたはしご
勾配屋根の雪下ろし作業
物置や車庫は滑りやすい屋根材であると共に屋根面積が狭いので、足を踏み外して転落する危険性が高くなります。平成24年度に発生した雪下ろし事故(311件)のうち車庫・物置の雪下ろし事故は全体の23%(71件)を占めています。平屋の建物、2階建の1階部分の雪下ろしでも、滑りやすいことに変わりはなく、転落事故の事例も多いので、油断せず十分な注意が必要です。
車庫の雪下ろし
平屋建住宅の雪下ろし