除雪のコツおしえます。

TOP > 除雪コラム

バックナンバー

第2回

「除雪と腰痛」

医療法人松田整形外科記念病院 院長 菅原 誠


(2014.12.28)

 

冬もまじかに迫り、いよいよ降雪が始まり除雪の季節が到来です。 除雪は北海道では避けられない作業ですが、屋根から落下したり、除雪作業で腰を痛めたりの事故は残念ながら毎年起きています。 ここでは誰でも行なう自宅周囲の除雪の注意点を解説します。

 

もともと中腰は腰に負担のかかる姿勢です。図1は腰の椎間板にかかる負荷を調べたものですが、寝ている姿勢に比べ、立っているときは4倍、中腰では6倍、中腰でものを持つときは9倍もの負荷が腰にかかっています。

図1 姿勢や負荷と椎間板内圧の関係(ナッケムソン、1976)

 

さらに、重いものをもった場合の背筋にかかる力を計算すると、体に近づけて持ち上げるときは2000Nにたいし、中腰で持ち上げるときは3000Nと1.5倍の負担が腰にかかっています(図2)。

a.中腰で持ち上げるとき

b.腰を落とし、体に近づけて持ち上げるとき

図2 重量物挙上時の背筋の力(ヴィルヘード、1986)

 

このように除雪では腰に大きな負担が強いられ、いわゆる“ぎっくり腰”や、さらには圧迫骨折が起こることがあります。“ぎっくり腰”はいろいろな原因でおこりますが、多いのは背骨どおしを繋いでいる関節や周辺の靭帯、筋肉が傷害されたための痛みです。椎間板が原因の痛みのこともあります。急に腰の痛みがでて、体を動かすことも困難となることもあります。圧迫骨折の場合も同様の症状ですが、痛みが長引くため、1週間たっても痛みが続くときは整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査による診断が必要です(図3)。


a.単純X線画像

 


b.MRI画像:矢状位画像

図3

 

除雪で圧迫骨折した人の第1腰椎圧迫骨折部のX線および
MRI画像
(52歳女性、除雪中に滑って骨折)

 

腰を痛めない除雪方法として、できるだけ腰を落として、体の近くで雪を持ち上げること、1回の除雪量を少なくして腰の負担を軽くすることが大切です。さらに雪を持ち上げるときはお腹に力を入れて持ち上げると、腹腔がちょうど車のエアバックのような働きで背骨を前から支える効果があります。腰を痛めた経験のあるかたはコルセットをつけると予防にもなります。

 

また、圧迫骨折はもともと骨粗鬆症になっているときに起こりやすいのですが、できるだけ腰に負担のかからないような作業は、むしろ腰の筋肉を使って、背骨を丈夫にする効果もあります。あくまで腰に負担のかからないような細心の注意をはらって除雪を行なって下さい。

 

 


 

ページのトップへ戻る ▲

Copyright (C) 2013 ウインターライフ推進協議会 All right reserved.